だいぶ日が長くなり春めいてきました。なんとなく、ワクワクする季節。当園では、3月30日に予定している平成31年度の入園式の準備を始めました。

昨年読んだ本ですが、就学前教育の重要性を明らかにした本を就学前のお子さんをお持ちの保護者にご一読を薦めたく、要約をご紹介します。たまにするアカデミックな話です。

「幼児教育の経済学」 ジェームズ・J・ヘックマン 東洋経済新報社 日本では2015年発行

著者のジェームズ・J・ヘックマンはシカゴ大学で教鞭をとり、2000年にノーベル経済学賞を受賞している高名な学者です。原本のタイトルは「GIVING KIDS FAIR CHANCE」です。「子どもたちに公平なチャンスを与える」このタイトルの方が当然しっくりくる内容で、著者の狙いも明確な気がします。40年以上の米国での追跡調査です。以下メモです。

どんな環境に生まれあわせるかが不平等の主要原因のひとつになっている
専門的な技術を持つか持たないかの両極化になっている。両者の相違は乳幼児期の体験に根差している。

恵まれない環境に生まれた子どもは専門技術もたない人間に成長し 生涯賃金が低く 病気 十代の妊娠 犯罪など個人的・社会的問題に直面するリスクが非常に高い

人生の成功するかどうかは認知的スキルだけでは決まらない。
認知的スキルとは:IQテスト 学力検査
非認知的スキル(社会的・情動的スキル)とは
:肉体的・精神的健康 根気強さ 注意深さ 意欲 自信

認知的スキル・社会的・情動的スキルも幼少期に発達し、家庭環境に左右される。
①生活の質が最も基本的な問題
②両親が揃っていない、親の収入や学歴は二次的な問題
③幼児期に介入することで改善する

認知力を超えるもの
「どれほど賢いか」を評価し重要視しているが人生の成功は「賢さ」以上の要素に左右されている

「意欲」(やる気)「健康」(元気)

「長期的計画の実行能力」「社会性・感情的制御」
賃金 就労 十代の妊娠 危険な活動への従事 健康管理 犯罪率に影響する

幼少期の重要性
認知・非認知能力の格差に関し 6歳で格差が明確という研究がある
「遺伝子」(生まれ)か「環境」(育ち)か ではなく 相互作用する

ある遺伝子の欠落が虐待のような環境で発現する 犯罪に繋がる 人生の成功にマイナス影響
同一遺伝子の一卵性双生児は、生活習慣や環境により遺伝子の発現に影響することが証明されている
孤独が健康に中程度の影響をもたらす遺伝子の発現させる
環境がIQの遺伝率を決定する上で重要な役割を果たしている

当園は生後57日から就学前の5歳までお預かりし、お子さまのこの時期の認知的スキル 特に非認知能力(社会的・情動的スキル)の発達に寄与できるよう、当園での保育環境の充実にスタッフ一同努めています。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール