先月、栄養士の先生から自宅の庭に植えてあるヘンルーダという低木を頂きました。
花壇の害虫を駆除する効果があり、鼻を近づけると独特の香りがします。
栄養士の先生には小学生の女の子が2人おり、大きくなった幼虫も怖がらず、自宅の庭から蝶が飛び立つのを楽しみにしている話を聞きました。何かに興味を持つことは素晴らしい事です。楽しみと同時に、なぜこうなるの?知りたいという疑問もセットで湧いてきているようです。愛着が生まれ、考える力や観察力が日常の中で鍛えられ、知識となって知らないうちに蓄えていくのですね。
早速、頂いたものを園の入口にある大きな植木鉢の中に植えたところ…
えーっ???
3日持っただけで、すぐに枯れてしまい大失敗💦
おかしいな…水かな…陽ざしが強く当たりすぎかな…それとも土の肥料が足りないのかな…???等といろいろ考えながら、場所を変え再チャレンジ。
枯れないよう、今度は慎重に場所と土の肥えていると思われる場所を選びました。
植えてから一週間経過し、枯れる気配もないし!元気で青々していました。
よし!これで大丈夫!!
早速、蝶々が卵を生み付け幼虫の姿が!
私は虫が大の苦手でしたが、幼稚園に勤務していた時、榴岡小学校校長を退職されたばかりの亀谷芳彦先生が園長として赴任してきて以来、まさに目からうろこ。いろいろな事を教わることが出来て、私の虫や生き物に対する見方や考え方が変化していきました。
もう20年近く前の事ですが、今でも思い出すことがあります。
それは、ある日園で飼育していたサナギが、ぽろっと落ちてしまった時のことです。大騒ぎしていた園児や先生達の前で、亀谷先生は動じず糸とハサミを器用に使い、枝にさなぎをくくりつけていました。「えーっ!そんなことで育つの?」と半信半疑でしたが、そのサナギはのちに蝶になり、元気よく空に羽ばたいていきました。あの落ちたサナギが?今でも不思議な体験でした。また、飲み終わって置きっぱなしにされたコーヒー缶の中で、さなぎになったばかりに羽根を広げられず、子ども達の目の前で命を落とす蝶もいました。
奇形で生まれてくる蝶々もいます。変身する瞬間を目の前で見ていた時、羽が曲がっているのに気づいた子ども達は、飛び立つことできないと直感します。それでも、「がんばれ!がんばれ!」と励まし続けていました。頑張ったけど息絶えた蝶々を見て、さすがにこらえきれず「がんばったね!」と号泣する子ども達でした。
絵本や図鑑の中では、体の特徴や名前等細かいところまで写真で教えてくれます。けれど「いのち」を学ぶのは、実体験で感じ取ることが大きいです。本物から学んだ事で得た、いのちの重みはずっと心に残っていきます。大人であっても、子どもであっても、それは変わらないと思います。
これらの体験が、私の虫嫌いの心を変化させていきました。
さて、毎日自転車で送迎しているお母さんから「蝶々の幼虫が産まれていますよね~」と声をかけられ、気づいている方もいると初めて知りました。
年中の子ども達が「保育園に蝶々が飛んでる!」「卵のママだよね!」との声。
卵の存在を知り、想像力が膨らんでいます。
年長児の子ども達に蝶々の名前を大募集したところ、たくさんの候補名が書かれていましたが、一旦ストップになってしまいました!
子ども達には理由があって「まだ生まれていないから名前はつけられない!蝶々になってから付ける」と言っていたそうです。飼育が成功し、早くかわいい顔を見せてもらいたいです。(*´▽`*)
蝶々の命から、それぞれの受け止め方でそれぞれの学びを得てもらえる事を夢見て、楽しみにしています。
やる気!元気!いぶき!蝶々になあれ!
2022,8,1 園長 阿部千鶴子