「先生!早く来て!鳥がいる」子どもたちと公園へ向かう準備をしていると、私を呼ぶ声がした。

見ると1羽のスズメが、保育園の門の前でこちらを見ています。逃げようともしません。電線や屋根の上の高い所ではなく、何故ここにいるのか不思議でした。近くで見たことがないので子どもたちは大興奮です。もっと近くで見たいとそろりそろりと距離を縮めると、スズメはゆっくりポッピングして遠ざかり、子どもが止まると止まります。鳥類は警戒心が強く、臆病な性格と思っていたので衝撃的でした。

早速子どもたちの観察が始まります。「あっ!首に何かくっついている!」「葉っぱだ」「フワフワしたものが!」と声が飛び交う。クモの糸に枯れ葉や綿ごみが絡みつき、頭から首の周りにくっついていました。

今度は少し離れて観察して見ることに。
「 なんか、さみしそう」「小さくてかわいい」と子どもたち。

過去に中国の毛沢東の進めた政策で、スズメが稲を食べることを理由に大量のスズメを駆除したところ、ハエ、蚊、イナゴなどの害虫の大量発生を招き、農作物に深刻な影響を与えた事があったそうです。幼い子どもたちは知る由もありませんが、生き物にはそれぞれ生きる意味と価値が備わっているのです。 このスズメを何とかしてあげたい思いから、「おなかをいっぱいにしたら、元気が出る」と、1人の子が提案しました。公園から戻って来た時に、まだここにいたら給食のお米を食べさせようと考えたようです。実現はできませんでしたが、そんな事を考えられるようになったと思うと、感慨深いものがあります。考えを言葉で伝えるのは難しいです。でも、たとえ無理でも人の心を動かし広がっていき、実現できると信じています。

数年後の未来、大人になった時もこの気持ちが残っていてほしいです。心優しい気持ちが人から人へ、そして明るい未来へと続いていきますように。

やる気!元気!いぶき! あのスズメは今どこに…
2025,2,10  園長 阿部千鶴子

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