小さなうちから本に親しんで豊かな人生を歩んでほしいという願いを常々語っていた、当園の石井代表の思いが少しずつ「絵本の森」という形で、園内の一室に実現しつつあります。
「絵本の森」は夢が膨らむ場所として保育にも活用できればと思っています。
準備中のため本箱の中は空のスペースが多い状態です。「新作絵本をこっちに入れたい……虫や植物、乗り物の本はここかな……」と、スタッフ同士で話しているだけで夢が広がってきます。まだまだこれからです。時間をかけて準備し素敵な絵本たちと出会いたいと思っています。。
遊んでいると絵本好きの子ども達が「絵本読んで~」とやってきます。この日、抱えてきた絵本はおおかみと七ひきの子ヤギでした。膝に子どもをのせてゆっくり読み始めました。ご存じの通りお母さんヤギが留守の間に、子ヤギがオオカミに食べられてしまうお話です。
絵本を読んでいて「あれ?」と思う事がありました。
昔、絵本を我が子に読んでいた時、怖くて「子ヤギに早く逃げてー💦」と息をのんだり、「食べないで~!!」と鬼気迫ったおおかみの恐ろしい顔つきや残酷さに驚いたりと、心臓がドキドキしてみていた子どもの姿を思い出しました。怖いのに、数えきれないほど何度も開いては読んでと催促されたものでした。でもこの日読んだ本は、怖さを感じない優しい本でした。私の読んだ本の内容と比べて、シンプルに綴られていました。すんなり読み終えてめでたし!めでたし!ジャン!ジャン!という感じでした。
社会の変化は、物語や絵本の世界にもいろいろな影響を与えます。
「小さい子に残酷さはふさわしくない。心に傷を負うような絵本は如何なものか……」などの論争もあり、嫌なところは、やんわりという新たな考え方によって内容が少しずつ変化していった時期がありました。
しかし昔から継がれている物語の内容には、何か教訓が語られ、それが人々の心に残り名作として受け継がれてきたと考えています。心に波風を立てることは恐ろしい、怖いという感情だけでなく、どう動いたら避けられるのか、これはいけない事だから絶対にダメ!などと、ページをめくりながら自分で考える力がついてきます。悪いことはしてはいけないんだ!と身にしみて感じるなど、心が揺れ動くことは、善悪の区別が付き心の豊かさと想像性へつながっていくのではないでしょうか。本が語る伝えたかった大切な部分が、少しずつぼやけてくる事は寂しい気がします。
さまざまな意見がおありでしょうが、目をつぶること、除外することは、もったいないなと感じてしまいます。原本にあるがまま、後世に受け継がれる本に出合えることは嬉しいと個人的には感じます。
せめて、いぶきっ子達が毎日手にする絵本には、スタッフと一緒にこだわりと信念を持ち真剣に選びたいと思っています。
「絵本の森」に来ると好きな絵本に出会える!
不思議と友だちと何回でも行きたくなる!
そんな雰囲気ある場づくりを目指し、子ども達と一緒に夢を見続けていきたいと思います。
やる気!元気!いぶき!梅雨の時期も楽しく!
2024,7,8 園長 阿部千鶴子