「やる気、元気、いぶき!」は当園のスローガンです。

その「やる気」のモトは自己肯定感です。当園の保育理念の大きな柱のひとつが「自己肯定感を育む」です。当園では毎日の保育活動において、どのようにすれば「自己肯定感を育む」を実践していけるのか、常に模索しています。
子どもの幸せは、すべての親の願いです。保護者の方へ如何に「自己肯定感を育む」ことが重要かをお伝えすることも、大切なことと考えております。
当園は基本的自尊感情(Basic Self Esteem)と言われている、成功や優越とは無関係ない、ありのままの自分が大切な存在(日本ウェルネススポーツ大学教授 近藤卓(『子どもの自尊感情をどう育てるか』)ということが特に大切なことと考えております。

今回は、松下政経塾様及び都築様より引用転載のご承諾を得て、以下のその論文の一部を紹介させていただきます。社会的自尊感情と基本的自尊感情ということが良く理解でき、共感いたしました。
松下政経塾卒塾生の都築藤子様 「子どもの自尊感情の現状と展望」より 引用

「人が幸せに生きていくためには、何が必要なのか。私は、他者からの評価に左右されない自分の価値観を持つことが必要だと考えている。他人からの評価や他者との比較のみに左右されている間は、自分が真にどのように生きたいかを見極めることができないからだ。そして、自分自身の価値観を築くためには、まず、自分自身を価値あるものとして信頼する(高い自尊感情をもつ)ことが必要でる。

自尊感情が低い日本の子ども達
自尊感情を持つということは、自分自身の存在を価値あるものとして捉えることである。自分を価値あるものとして捉えることは、人生の困難も前向きに乗り越え、幸福感を持って過ごすため必要なことである。また、自分を肯定的に捉えることで、他者に対しても受容的になり、他者と良好な関係を築くことができるともいわれている。
すべての子ども達は、いずれ学校や生まれ育った家庭を巣立ち、自らの人生を構築していく。子どもたちにとって、
①他人の評価に左右されない自分の価値観を築くこと、
②他者と良好な関係を育むことは、それぞれがその後の人生を幸福に過ごすために不可欠な要素である。
自尊感情はこの2つのことの基盤となる自己概念に対する評価である。
逆に自尊感情の低いことは、学業や仕事に対する意欲のなさ、対人関係の構築の難しさ、非行や犯罪、抑うつとの相関があることが報告されており、このことからも、幸せな人生を送るうえで、自尊感情は欠かせないものであることがわかる。

社会的自尊感情は、社会的な評価に基づくので、「褒める」「認める」「成功体験を積ませる」「出番を作る」という方法で向上する。しかし、社会的自尊感情だけでなく、基本的自尊感情を育む必要がある。他者から評価される機会を増やすということに偏った自尊感情の育て方では、自分への評価は他者からの評価に偏った不安定なものとなるからだ。社会的自尊感情に加えて、基本的自尊感情を育まなければ、自分の人生をどのように生きるのか(進学・職業選択・結婚)を選択する際に他者からどう評価されるかに偏った選択をすることになる。
社会的自尊感情に加えて、自分の価値観に基づき、判断をすることができる安定した基本的自尊感情を育むことが築くことがそれぞれが自分の価値観に基づいた幸せな人生を送るうえで重要である。

子どもの自尊感情を育むためには、これまで通り、「褒める」「認める」「成功体験を積ませる」「出番を作る」等の方法で、社会的自尊感情を育むことに加えて、基本的自尊感情を育むためには、個人として受け入れられる場所を持ち、自分と向かい合ってくれる大人の存在が必要である。
子ども達が感じている孤独感の要因は、大きく2つあると考えられる。
第一に、両親から感じるプレッシャ―である。各世帯当たりの子供数が減少する中で、子どもが期待通りに育たないことに対して、焦りを覚える親は多い。それが子どもに対するプレッシャ―になっていると感じられることもある。
第二に、ひとりの子どもに関わる大人の数の減少である。元来、父母、祖父母と二世帯で暮らしている家庭も多かったが、現在では、核家族が主流となり、子どもと日常的に関わる大人の人数が圧倒的に減った。さらに、共働き世帯も主流になり、放課後帰宅しても、家に母親がいない家庭も多い。そうした中で、子どもの話を聞いてくれる大人の数が減っていること、子どもの依存対象となる大人の数が減っていることが孤独感を感じる子どもの数の増加の要因となっていると思われる。
一番無条件に受け入れてもらいたい両親から過度の期待を受けること、また、子どもの話に耳を傾けたりして、両親以外に依存対象となりうる大人の数の減少は、子どもの孤独感を深め、自尊感情を傷つけていると考えられる。

課題と取り組み

上記の課題に対し、
①子どもの自尊感情が重要であるという視点を持つ、
②親以外の大人が子どもに関わる時間を作るという改善策を提案する。
第一に、子どもの自尊感情が重要であるという視点を持てていない現状がある。特に幼児期の家庭教育では、ひとりひとりの個性を伸ばし育てるために、子どもの自尊感情という観点を持つことが重要だ。こども達は、大人から評価を得たいと考えながら、行動している。子どもひとりひとりの成長の程度や得意不得意もあるが、まず、大人がポジティブな声掛けを意識することが必要である。受験や資格試験の低年齢化が進み、この年齢では、これができていないといけない、と学校でも家庭でも感じることが多くなっている。しかし、子どもの成長の速度は、それぞれであり、大人の過度な心配を押し付けてはいけない。
大人の尺度で、子どもにプレッシャーを感じさせるのではなく、子ども自身が未来を描けるよう大人が支えなくてはいけない。
第二に、子どもと時間を過ごす大人の数の減少という課題がある。子どもの自尊感情保ち、向上させるためには、子どもの話によく耳を傾けるということが必要である。子どもの話を聞いていると、つい、先走って答えを言いたくなってしまうことがある。特に、親子や先生と生徒のような近い間柄になると特に子どものことを心配するが故、答えを先走って伝えたくなる。このような状況から日本では、親がこの役割を満たせることが少ない上に、近年では、父母と子どものみの核家族化、両親の共働きが進んでいる。放課後、家に帰っても大人が自宅にいないという状況が増えているということだ。これまで子どもの話の聞き役であった祖父母や母親に変わる役割が必要とされている。

以上 引用終わり。著者の都筑様は、放課後の学童保育に積極的に取り組まれておられるようです。ご意見、ご感想をいただければ幸甚です。

やる気、元気、いぶき! 石井晴夫

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